Monthly News Letter

アートの技法と魅力

アート作品は大まかに絵画などの平面と、彫刻などの立体に分けられますが、
今回は銀座柳画廊が主に扱う「絵画」と「版画」の技法と魅力について、できるだけ専門的な言葉を使わずにお伝えしたいと思います。

画家が絵具(鉛筆なども含め)を使って直接キャンバスや紙などに描いたものを絵画と言い、肉筆画とか本画ということもあります。
一方、画家本人もしくは職人が、木や銅の板を削ったり、石版石や金属板、網目の布などを加工して作った版(はん)を使い、
紙などにインクを刷り取って制作したものを版画と言います。
日本人に馴染みが深い版画は木版画だと思いますが、近年はリトグラフが多く市場には出ており、版画とリトは同じ意味だと
思っている方も少なくないようです。
版画は版として何を使うかで木版画や銅版画、リトグラフやシルクスクリーンなどに分けられますが、
今回お伝えしたいポイントは、そういった専門知識は制作側の問題で、見たり飾って楽しむ側にはそれほど重要ではないということです。

アーティストは理想の作品を生み出すための技法を選択し、技術を磨き、時には偶然も利用しながら、納得がいく作品の制作に努めます。
当然、油絵の画家でも水彩画やパステル画、鉛筆画も描きます。
その手法や画材でしか出せない線や色もあり、敢えて版画を選ぶことで刷り上がった時の発見や驚きを楽しむアーティストもいます。
代表的なのはピカソやシャガールで、彼らは絵画同様に版画の制作にも注力し、彫刻や陶器の作品も制作しました。

見る側の私たちはその作品に、美しさや安らぎ、楽しさやいとしさ、驚きやパワーを感じることができたなら、その作品を多少なりとも
理解したのだと私は思います。
創る側は何をどう表現するか、見る側はどう捉えどう感じ、そしてそれを受け入れるか拒絶するか、お互い自由であることがアートの
1番の魅力だと思っています。

Author:
内田 繁弥
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