Monthly News Letter

向井潤吉アトリエ館

皆さまいかがお過ごしですか(^^)

先日、世田谷美術館分館の「向井潤吉アトリエ館」に行ってまいりました。
こちらは向井潤吉が長年愛用したアトリエ兼住居を美術館として改装し、世田谷区に寄贈した建物です。

駒沢大学駅から10分ほど歩いた住宅街にあります。
館内は素朴で雛人形やこけしが飾ってあったりと田舎の祖父母の家に遊びに行った時のような雰囲気でゆったりとした時間が流れておりました。

床に目を向けると絵具の跡が当時のまま残っており、向井がアトリエとして使用していた形跡があり
ここで制作されていたのだなとしみじみ感じました。

向井の作品は銀座柳画廊に入社した当時から常設展示されていることが多い馴染みのある画家です。
古民家を描いていることはもちろんですが、自分の中では空が美しいという印象を持っていました。

アトリエ館に行ってからもやはり草の緑色や空や川や海の青が美しかったことが印象に残っています。
古民家は様々な茶色で描かれており、茶色というと彩度が低い色ですか、向井の作品は濁ったように見えず不思議と彩度が高く見えます。
隣り合う色がお互いを引き立てているからだと思いました。

今回アトリエ館に伺い、改めて向井は色彩感覚に優れている画家という印象を持ちました。
ですが向井は冬から初夏を好んで描いたそうです。それは生い茂る樹木や草の緑色が得意ではなかったからとの言葉を残しています。
描く方と観る方では作品の見え方も変わってくるのだと感じました。

もう一つ印象に残っているのは絵の具のタッチの美しさです。木の枝や電線などまで迷いのないタッチで描かれており、無駄のない筆捌きをされていたのが印象的です。

今回、向井の人物像を知ることができ、作品をゆっくりと鑑賞できてとても楽しい時間でした。
展示は企画内容により変わるかと思いますが今回はコローを模した作品や「鰊」を描いた作品などもありました。
見応えのある美術館なので興味のある方は足を運んでみてくださいね(^^)

銀座柳画廊では少しずつ「春の名品展」(2023年3月5日〜3月25日)の準備をしております。詳細はこちら
向井潤吉の梅を描いた春らしい作品も出品いたしますので是非ともいらしてください。
皆さまのお越しをお待ちしております。

Author:
須藤直実
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