|
「画廊は入りにくいところ、絵は高価なものという印象が強いのですが、気軽な値段のものもあるんですよ」と野呂さん。
大阪の梅田画廊オーナーの子息が夫人とともに経営する柳画廊には、洋画家として名高い中山忠彦氏の夫人像もあれば、これからの画家の良い作品も揃っています。水彩画なら10万円くらいから、油彩画で10万円代後半からというように。
「絵のよしあしがわかるというと、皆さんたいへんなことと思っていらっしゃる。でも、例えばネクタイの柄を選ぶ時に、なぜその色の組み合わせがいいのかということは、人に教えられて納得するものではありませんよね。自分で何本も見ているうちにセンスが養われ好きなパターンができてきます。絵もまずたくさんご覧になることです。そして折りにふれて画商の意見を求められることも鑑識眼を養う早道です」
ネクタイさえ、好みよりブランドネームを優先しがちな日本人は自らの審美眼を養うことが苦手なのかもしれません。
「絵と音楽が食事と並んで生活必需品であるヨーロッパほどではなくても、ご自宅に好きな絵のある豊かさを多くの方に知っていただきたいのです。数年たったら買い換える高級車に比べれば、絵は必ずしも賛沢品とはいえないのではないでしょうか。良い絵は一生飽きがこないで楽しめますから」
画商の家に生まれたご主人とは対照的に、洋子さんは結婚前までIBMに勤務。美術館へ行くことはあっても、絵を買うという行為はライフスタイルの中になかったそうです。
「日動画廊の社長と副社長である奥様が、ご夫妻で活躍される姿がとても素敵で、私も挑戦してみようと思いました。主人には絵描きさんとのお付き合いや仕入れをまかせて、私は企業関係を含めて新しいお客様づくりをする役割分担なんです。良い絵が入ると、手放したくなくなってしまう主入と、あのお客様にご紹介したらきっと喜んでくださるはず、と思ってしまう私の意見が分かれることもあるんですが・・…・(笑)」
まったく別の才能をもつお二入が発足した『柳の会』は、若い人に絵のある生活を知ってもらうことが目的。クラブやレストランを借り切ってオープンギャラリーを開催しています。
[半分お見合の場のようなものなのです(笑)。会費をいただくので、その場で買っていただこうとは一切思いません。私の経験からいっても、まず好きな画家をみつけていただくことが、絵に近づく第一歩だと思っていますから」
柳画廊では、洋子さんがネスプレッソをサービスしながら、訪れた人に合わせた解説をしてくれます。
「うちのエスプレッソはお客様にもとても好評なんですよ。
先日、島村達彦先生の個展を開いた時に、泰明画廊の社長が一枚買ってくださるおつもりで見えたのですが、もう完売になってしまっていて。かわりにネスプレッソのコーヒーメーカーを、これがほしいと注文して行かれました(笑)」
銀座にお越しの際は、お立ち寄りになってみてはいかがでしょう。お二人の案内で絵に一歩近づけるかもしれません。
|